破産管財人の役割と職務内容について
破産管財人の立ち位置
破産管財人とは、破産法に定められている存在であり、破産財団の管理や処分を行う権利を持っています。破産があれば必ず選任されるわけではありません。破産の申し立てが裁判所に対して行われると、同時廃止・管財事件・少額管財の3つの内度の手続きで進めていくかを決定します。
破産管財人が選ばれるのは、この3つの内後者の2つです。
同時廃止
まず同時廃止とは、そもそも破産を申し立てた人に何も財産が残らないときに採用される手続です。破産を申し立てた人に財産があれば、それを債権者間で分け合う手続きが必要となりますが、そもそも何の財産もなければそのような手続きを行う必要がありません。したがって、裁判所は破産の開始手続きと同時に終了させ、破産者に免責を与えるかどうかを審査する運びとなります。破産管財人は財産の管理、処分をする権限を持っている人であるため、それを選任するまでもないということです。
管財事件
管財事件は、一定の財産が破産者に存在する場合に選択されます。破産を申し立てた人に財産があれば、それを債権者で分配することはできます。いくら総額の債務を弁済できないとしても、それを破産者の手元に残すのは債権者にも酷ですので、きっちりと処分がなされます。また、債務が大きい場合、債権者に対して破産に至る経緯を説明して報告をする必要性が高く、破産管財人はこれらを職務として行います。
少額管財
少額管財は、比較的軽微な事件で、申し立ての費用が安くなる手続です。通常、個人が破産を申し立てるケースでは、よほど債務の額が大きいような場合を除いて、この方法が選択されることとなります。逆に法人の場合は、簡易な事件ということはできないため、必ず管財事件になるので、少額管財として扱われることはありません。
破産管財人に選任される人材と職務内容
どのような人材が破産管財人として選ばれるのかというと、弁護士が選ばれます。弁護士の中でも選ばれるのは、破産法に詳しい存在です。事件によって難易度は異なりますので、経験年数などを考慮したうえで適任者と判断された弁護士が選ばれることとなります。法人が破産した場合は、選ばれた人が登記されることになります。
選任された場合の具体的な職務は、破産者の財産を管理・売却をするなどして、配当金を債権者に対して分配することです。また、免責を許可するべきかどうかについて意見を裁判所に対して述べることも行います。もちろんそれを最終的に決定するのは裁判所ですが、管財人が職務で調べて出した結論は裁判所の決定の重要な要素となることは言うまでもありません。
財産を平等に債権者に分配するためには、財産を調査する必要性があります。破産を申し立てる人が現在保有する財産を適切に申告しているのかは当然調べられます。中には財産を隠してしまうケースもありますから、この職務はとても重要です。また、破産者が財産隠しの手段として、申し立て前に財産を親族や知人に対して安い値段で譲渡するといったことも行われることがありますが、破産管財人には否認権を行使する権限が合って、不当な財産隠しを見過ごさないような制度設計になっています。
このように、管財人には重要な権利がありますが、それゆえに不正を働かないかどうかを監視する必要性も高いです。破産法はこの監視の仕組みをキチンと取り入れています。まず、裁判所の指揮監督に服することとなるため、説明を求められればきちんと説明をしなければなりません。
裁判所は解任をする権限も持っているため、管財人は解任されないように適切な行動をとる動機付けがなされます。また、管財人が作成した計算報告書に対して異議がある場合は、破産者はその異議を述べることができますし、債権者も同様に述べることができるなど、管財人が独断で好き勝手にできるといわけではありません。